大島を離れて約20年。島での暮らしより島外での暮らしの方が長くなった。
便利だけれど時間に追われ、いつの間にかやっつけ仕事をこなす毎日。ふと空を見上げてこの違和感は何なのか自分に問うことがある。
大島に帰ってくると、ありのままの自分を受け入れ必要とし、自分の事の一部として共に考えてくれる家族と、全てをやさしく包み込むようなこの大きな大地がある。大切なことは、時間通りに物事をこなしていくことではなく、より自分の心が心地よいと感じることに意識を向けることなのではないかと思い直す。
土の上をかけ回り、潮のにおいを感じ、木のエネルギーをもらう。そんな時、生かされていることを実感する。
プラネタリウムでは感じることのできない満天の星の煌めきは、なんともいえない素晴らしさだ。
子ども達は島に来ると庭でよく遊ぶ。土を掘り返し、木の枝で何かを作り、遊具など何もなくても自分たちで遊びを創造していく。自然に学び、自然と遊び、多くを吸収していく。
与えられるものが多い現代の環境の中で、与えられなくても自ら創造し発見していくことの喜びを、多くの子ども達に知って欲しいと切に願う。
満天の星空を見上げて深呼吸。ただいまー!!
田野 被芙子 Hifumi Tano (30代 東京)